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No.251 2013年7月1日

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医療廃棄物の低価格化


絞り込んだ意見を発表
―全産連・医療廃棄物委員会―


 
全産連の医療廃棄物部会では、先般医療廃棄物の低価格化について、いくつかの問題点を整理して、今後の経営課題として取り上げることになり、運営委員から意見を求めていたがその結果は次の通りである。 
1. 医療機能評価
・審査機関との連携により、審査員に「医療廃棄物処理」を重点項目としてチェックして貰う

2. 処理料金調査の実施
・処理業者対象に実勢価格を把握する。原価の要素を分かりやすく解説したもの
・医療機関を対象に処理費の調整を実施

3. 行政の取り組み
・地方行政が独自に現場密着型の評価制度を作成する。行政と産廃協会などの業界団体が共同で処分場に
立ち入り、法令基準項目をチェックし、結果をネットに公開

4. 排出事業者(医療機関)と処理事業界の取り組み
・医療機関側との意見交換等を実施し、適正処理の意識を高めて貰う

5.他の廃棄物との差別化
・感染性廃棄物の危険性をもっと浸透させる

6.その他
・新規参入業者の安値受注は医療廃棄物部会に加入させて、協調姿勢をとるように促す
・マーケットを拡大するために、紙おむつなどを、感染性扱いにするように働きかける
※これから最優先性・実効性を考慮して、更に絞り込み具体化に向け検討を実施する。

◆医療廃棄物適正処理推進機構(ADMS)◆


排出事業者と処理業者の架け橋
―東京産業廃棄物協会・医療廃棄物委員会との交流を検討―



排出事業者と処理業者の架け橋として、先般設置された「医療廃棄物適正処理推進機構(ADMS)」との交流を図ったらと、東京産業廃棄物協会・医療廃棄物委員会は、担当委員を決め9月までに結論を出すことになった。ADMSは一応医療機関の責任者が理事長として当たり、処理業者が集まって作られたもので、今後どのように展開するか、関係者の関心を集めている。

依然漂流する医療廃棄物


 今から7・8年前に「漂流する医療廃棄物」と題して、小論文を発刊したことがある。当時は丁度フィリピンに医療廃棄物と評して不法輸出がおこなわれ、世間を騒がせていたので、何となく時流に沿った論文として、一部関係者の間で話題となった。たしかに問題が無くとも、医療廃棄物は扱いが難しく、一筋縄ではいかないので、大方は一般廃棄物として処理しているのが多いようである。見ようによっては一般廃棄物で処理できそうで、また一歩ふみ込んでも産業廃棄物で処理しているケースさえある
 今回の東日本大地震による災害廃棄物は、医療廃棄物を一般・産廃が混ざる要素が多く、明確に分けろという声が、小さくなってしまうのが、目にみえている。ご承知の通り医療廃棄物は、一応法律によって特別に管理され、その排出・収集・運搬・処理を規制することで、人及び環境への影響を考慮して、対策を強化することになっている。ところが現実は厳しく、処理をめぐる不祥事はあとをたたないのである。これの解決のため、従来から医療廃棄物の適正処理をおこなうためには、多くの課題の中からいくつかを取り上げると、まず医療廃棄物に対する意識改革がある。次に医療廃棄物に関する法制度の整備があげられ、最後に処理料金問題の解決をあげることになる。以上三つほどを取り上げたが、どれ一つとっても大変で、すぐに解決とはいかないことはわかっていても、何とかならないものかと考えてしまう。それほど関係者にとっては切実な問題で、一つでも解決できればと思っている。しかし現実はまだまだ医療廃棄物の漂流は続くことであろう。どうせ取りかかった医療廃棄物である。どこまでも取り組んでゆくつもりでいるので、声援をお願いしたい。

                                             
 医療廃棄物研究所 所長 渡辺 昇