No.215 2010年8月1日
2010年8月1日
暑中御見舞い
申し上げます
平成二十二年 盛 夏
医療廃棄物研究所
所 長 渡辺 昇
有害・医療廃棄物研究会
医療廃棄物等に関する教育のあり方を議論
――第29回研究講演会にて――
去る7月9日、東京慈恵会医科大学・西講堂において、有害・医療廃棄物研究会の第29回研究講演会が開催された。午前の部では、平成20年度助成金の研究報告3題の発表のほか、昨年に続き「アジア地域における医療廃棄物の現状」として中国での調査・研究報告があり、午後の部では、同研究会副会長の木ノ本雅通氏が「医療廃棄物とバイオセーフティ」に関する講演を行った。
その後、「適正な有害・医療廃棄物の取り扱いに関する教育をどうするか」と題したシンポジウムでは、東京大学大学院の大島義人教授による基調講演に続き、自治体、大学研究者、業界団体、処理業者らが、それぞれの立場から医療廃棄物に関する教育の実際を報告。パネルディスカッションでは会場の参加者から多くの質問が寄せられ、活発な意見交換の場となった。
研究所事務所移転のお知らせ
医療廃棄物研究所は8月1日より移転致しますので、今後のご連絡は下記にお願い致します。
〒262-0033 千葉市花見川区幕張本郷7-25-7
※TEL・FAX番号については追ってお知らせ致します。
今ごろになって水銀問題とは
先日、都内数ヵ所の焼却炉が、水銀混入により運転停止に陥っているとの報道があり、多くの人々が驚いているようである。
この報道を聞いて、以前、医療廃棄物研究会(現在は有害・医療廃棄物研究会)に、ある地方の焼却施設から「水銀問題で困っている。調査の上で解決方法を講じたい」との連絡があり、筆者を含む関係者で現地を調査し、当面の対応策について助言したことを思い出した。焼却炉の水銀問題を取り上げること自体が珍しい20年以上前の出来事で、廃棄物処理への真摯な態度に感服したことを今でも鮮明に覚えている。
残念ながら、現在のような制度(特に分別・収集)が行われている限り、今回のような問題が起こるのは当然といえば当然で、廃棄物処理の適正化を考える人々、特に医療廃棄物(感染性廃棄物とは言わずあえて医療廃棄物と言う)に関心のある人々は「やはり出たか」とつぶやいたのではないだろうか。
なぜなら、前述の焼却炉調査の際、医療機関からの廃棄物を焼却したときに多くの水銀が検出された事実からして、今回の件も医療廃棄物が絡んでいる可能性が十分あると思われるからである。
再三訴えているように、廃棄物全般について全面的な定義・区分の見直しが必要なことは、廃棄物処理に関わっている者ならば承知しているはずである。「廃棄物処理法は少しずつ改定されているし、まあいいか」という考えは改め、今こそ正論を叫ぼうではないか。
特に医療廃棄物については、「問題はなく処理もおおむね良好」などとのんきなことを言っている場合ではない。いくら焼却施設が改善・整備されても、分別・収集運搬に問題がある以上(問題なしと考える方々には“馬の耳に念仏”かもしれないが…)、今回の件を契機として、医療関連の廃棄物は放射能やPCB、アスベスト等々、有害廃棄物の宝庫(?)であることを銘記すべきである。