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No.207 2009年12月1日

(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物部会

ADPPの審査制度を廃止
医療廃棄物適正処理推進運動として継続

(社)全国産業廃棄物連合会は、先ごろ行われた理事会で、平成8年より推進してきた「適正処理推進プログラム(ADPP)医療廃棄物編」を廃止し、任意の「医療廃棄物適正処理推進運動」として展開していくことを決定した。

ADPPが目指す適正処理への思いは、行政・医療関係機関等で取り組まれるようになり、また東京都の「優良性基準適合認定制度」でも、感染性廃棄物取り扱い業者は別枠で審査項目を設けることが明らかになるなど、連合会による審査は重複しているのではないかという指摘もあったため。

なお、制度廃止にあたって同連合会・医療廃棄物部会では、「今回の決定はあくまでも現在実施している審査制度の廃止であり、適正処理推進運動は従来以上に活発に展開し、業界の自浄・自助努力を続けていく」と述べている。

◎(社)神奈川県産業廃棄物協会◎

新型インフルエンザに伴う廃棄物対策
まず処理業者11社で相互協力協定

(社)神奈川県産業廃棄物協会は、新型インフルエンザ発生時に感染性廃棄物の円滑・適正な処理が行えるよう、県下で感染性廃棄物処理を担う主な業者11社と「新型インフルエンザ発生に伴う感染性廃棄物の処理に係る相互協力協定」を締結した。協定の内容は「目的」「定義」「事業の継続」「情報の共有」「依頼」「その他」で構成され、協定の事務は(社)神奈川県産業廃棄物協会が行うことになっている。

【参考資料】 過去の大流行と新型インフルエンザの被害想定
資料:国立感染症研究所、厚生労働省
  流行年 ウイルスの型 被 害
スペインかぜ 1918〜19年 H1N1 死者2000万〜4000万人。日本国内の死者38万人。致死率約2%
アジアかぜ 1957〜58年 H2N2 死者200万人以上。致死率約0.5%
香港かぜ 1968〜69年 H3N2 死者100万人以上
ソ連かぜ 1977〜78年 H1N1 中国からソ連、アジアに拡大
政府が想定していた新型インフルエンザ H5N1 日本国内の発症者数3200万人。死者17万〜64万人

より高く志を掲げよう〜ADPP審査終了に際して〜

医療廃棄物の処理業界が自主的に、目に見えるかたちで「自浄・自助努力」を始めたのがADPP(適正処理推進プログラム)だった。

ADPPという小難しい名称や、処理業界の実情から見て「あまりにもきれいごと過ぎる」「そう簡単に実施できるのか」という批判は当初からあり、前途を危ぶむ声は強かった。その成果についても賛否の分かれるところで、運動の中心的役割を果している全産廃連・医療廃棄物部会では、運動の存続を含め今後の対応について議論を重ねてきた。

医療廃棄物の適正処理を推進すること自体は誰も異論を挟まないと思うが、実際に取り組むと「適正処理」という言葉は現実感に乏しく、単なるスローガンに終わっているような気がしてならない。しかし、適正処理を大声で叫ぶにはそれなりの根拠があり、ADPPもある意味では必要な制度であって、処理業者を選定する場合の指標になったり、昨今では国が進める各地方自治体の優良業者審査制度にADPPのチェック項目の大半が取り入れられるようになっており、特に東京都の制度では感染性廃棄物関係を別項目として特別に審査するまでになった。これらのことを考えると、ADPPの実施によって関係方面に多少なりとも影響を与えることには成功したようである。

いずれにしても、従来の制度を廃止し「医療廃棄物適正処理推進運動」として展開することになった以上、ADPPに深くかかわってきた私としては、今後いっそう高く志を掲げて適正処理を訴えていくつもりである。また、名称がどう変わろうとも、“医療廃棄物の適正処理”という旗の下に運動を続けてきた人々の心の中には、ADPPは永遠に生きていくと思っている(少し大げさな表現でしたら、私に免じてお許しを…)。