No.200 2009年5月1日
廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン
処理業者等の取り組みを策定
併せてQ&Aによる周知を要請
新型インフルエンザ対策については、かねてより医療機関向けの対策とは別に、医療廃棄物処理業者向けの対策を講じるべきとの要請が業界団体より上がっていたが、環境省が中心となって設置された「廃棄物処理における新型インフルエンザ対策検討会」は、去る3月、検討の成果をガイドラインおよびQ&Aとして発表するに至った。
ガイドラインの骨子は、序章と本章、および参考資料で構成され、序章では(1)新型インフルエンザに関する基礎情報、(2)新型インフルエンザ対策の現状、本章ではガイドラインとして、(1)廃棄物処理に関する一般的事項、(2)廃棄物処理業者等が取るべき措置、(3)廃棄物の適正処理確保の観点から準備すべき事項、が掲載されている。
新型インフルエンザが大流行した場合、廃棄物処理事業の継続が難しくなることが予想されるため、本ガイドラインでは、廃棄物処理業者に対し、関係各方面と連携して事業継続のための体制整備・計画策定に当たることを要請している。原則としては、「感染性廃棄物処理マニュアル」に沿って適正に処理することになるが、状況によっては処理の停滞も起こり得るため、今後も計画に沿った検討を行うよう求めている。
2009NEW環境展
(株)日報アイ・ビー主催による、恒例のNEW環境展が5月26日(火)から29日(金)までの4日間、東京ビックサイトにて開催される。今回は初めて「東京医療廃棄物処理協同組合」が(社)東京産業廃棄物協会のブースを借りて出展し、東京の医療廃棄物処理を紹介することになっている。
(社)日本医師会・(社)全国産業廃棄物連合会
ガイドライン策定への対応
既定の行動計画に盛り込む
新型インフルエンザ対策行動計画は、既報のとおり医療関係者への対策が先行し、プレパンデミックワクチンの接種や接種体制の検討が行われる一方、医療廃棄物処理従事者に対する対策は遅れていた。今回、ガイドラインが策定されたことで、処理業界の具体的な体制整備が期待される。
(社)日本医師会では、2月に策定した新型インフルエンザ対策行動計画に続き、去る4月4日、今回の廃棄物関連ガイドライン発表に基づいて、全国の地域医師会宛に『廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドラインの送付ならびに周知方の依頼について』を送付した。
一方、(社)全国産業廃棄物連合会も、ガイドラインを全国の都道府県産業廃棄物協会に送付するとともに、4月21日に医療廃棄物部会の運営委員会を開き、今後の具体的な対応を検討することを決めた。
エコ・エコ・エコ
近ごろ、そこらじゅうに“エコ”があふれ返っている様子には、ある種の恐ろしささえ感じる。「エコはファッションでいい」とまで言う向きもあり(従来のエコロジー・ファッションとは意味合いが違う)、一見トレンドとして格好良く世の中に浸透しているものの、一皮むけば問題点は山積みのようだ。エコ問題の原点であり最先端ともいうべき「廃棄物処理」に関わっているだけに、身にしみて感じる昨今である。
エコを冠している処理業者は数知れず、企業の事業計画や営業活動の中にもエコという文字はやたらと使われ、今やエコを名乗らねば商いもできないような雰囲気すらある。たしかに、環境問題を無視して企業活動はできない時代とはいえ、エコが掛け声だけに終わるなら、かえって環境に悪影響すらおよぼしかねない。わが国のように、ハード面が進んでいる割に、教育、モラルといったソフト面がおろそかにされているようでは、その感をいっそう強くせざるを得ない。
時はあたかも新型インフルエンザ流行が取り沙汰されている折、心配は募るばかりだ。ガイドラインやマニュアルが出来上がって、充実した対策が期待される一方、基礎知識やモラルが欠如している現状は、そう簡単に覆せるものではないだろう。