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No.192 2008年9月1日

(社)全産廃連・医療廃棄物部会

処理業界の新型インフルエンザ対策を
部会運営委員会の意見を集約し具体策を検討

既報の通り、環境省では「新型インフルエンザ発生時における感染性廃棄物等の適正処理に関する調査」を開始、感染性廃棄物等の適正処理の確保について文献調査や有識者等へのヒアリング調査を行い、政府の行動計画中に想定される課題やその対策方法を取りまとめることにしている。
(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物部会でも、三分科会の討議を通じて新型インフルエンザの発生時の感染性廃棄物処理を中心に討議する。まず、医療廃棄物部会の運営委員に処理業界としての対応について意見を求め、今後具体的な取り組み方針を決めることにしている。

参考資料:「新型インフルエンザ対策行動計画」の概要について(平成18年5月改定)

鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議
  • 1. 流行規模の推計
    米国疾病管理センターの推計モデル(FluAid 2.0)に、わが国の状況を当てはめて推計した。その結果、我が国の場合は、全人口の25%が新型インフルエンザに罹患すると想定した場合に医療機関を受診する患者数は、約1,300万人〜約2,500万人(中間値約1,700万人)と推計される。
  • 2. 新型インフルエンザ対策の推進体制
    政府一体となった取組を推進するために「鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議」を設置するとともに、厚生労働省では、大臣を本部長とする対策推進本部を設置したところであり、こうした推進体制の下で、地方自治体、関係機関(医療機関等)、国民の協力の下に総合的な対策を推進する。
  • 3. 行動計画
    WHO世界インフルエンザ事前対策計画において定められている6フェーズ(段階)を、さらに、「国内非発生」と「国内発生」に分類し、それぞれについて「計画と連携」、「サーベイランス」、「予防と封じ込め」、「医療」、「情報提供・共有」の5分野にわたって講ずべき具体的な対策を策定した。

医療廃棄物勉強会

医療機関より排出される有害廃棄物
安心・安全が確保できる取り扱い方法は

医療廃棄物には、感染性廃棄物以外にも危険な「有害廃棄物」があることは周知の通りであるが、感染性廃棄物と異なって法制上取り扱いが曖昧な部分があり、現場での対応が危ぶまれている。
そこで、(社)東京産業廃棄物協会と東京医療廃棄物処理協同組合では、定期的に開催されている「医療廃棄物勉強会」でこの問題を取り上げることにし、去る8月27日、東京産業廃棄物協会会議室で元東京大学環境安全センター准教授の鈴木良實氏を招いて「医療機関から排出される有害廃棄物」と題する講演会を開催、参加者らと活発な質疑応答が行われた。

同じ轍を踏まないためにも

医療廃棄物の処理方法については、今さら述べるまでもなく、わが国においては焼却処理が主流であり、全体のおよそ9割以上を占めるといわれている。

なぜそうなったかはわが国の特殊事情によることで、多くの人々が納得しているため、いちいち理由を挙げることはしないが、焼却以外の処理方法(溶融・高圧蒸気滅菌・乾熱滅菌・消毒等)についても、一部の病院では院内処理方法として取り入れていたことや、最近では業として展開する企業も現れてきたため、既報の通り全産廃連・医療廃棄物部会でも「医療廃棄物処理方法検討分科会」を開き、幅広い処理方法に対応する体制の整備を行うことになったという。

焼却以外の処理で常に問題になるのが、処理後の残さ処分が難しい点で、直接関係はないとはいえ、生コン業者がコンクリートにごみの焼却灰からできる「溶融スラグ」を混入させていた偽装問題は、時が時なだけに関係者にとっては関心が深いと思う。

そのような意味からも、医療廃棄物処理は残さを含め、処理・処分の検討を十分に進める必要がある。

焼却にしろ他の方法にしろ、医療廃棄物処理を安易に許可した轍を再び踏まないためにも。