No.171 2006年12月1日
海外研修生来日
研修プログラムに医療廃棄物問題
医療廃棄物の処理施設も見学
以前より、わが国の廃棄物処理事情を調査・視察すべく、外国から多くの研修生が来日しているが、最近それらの研修プログラムに「医療廃棄物問題」が取り入れられるようになっている。
今年に入って7月にはミクロネシア、ニカラグア、パキスタン、マケドニア、東ティモール、ベトナム、中国、8月にバングラディシュからの来日があり、また12月にもバングラディシュ、ネパール、パキスタン、スリランカの政府当局者および大学、病院関係者等が来日し、わが国の医療廃棄物処理事情を聞き、処理施設を見学することにしている。
なお、研修生への説明および処理施設見学では、医療廃棄物研究所の渡辺昇所長が講義をするとともに、処理施設にも同行して説明を行っている。
岡山大学大学院田中勝教授グループ
マニュアルの運用見直しを求める
危険度に応じて基準を作成し分別を
岡山大学大学院の田中勝教授グループは、感染性廃棄物の処理状況について全国の病院にアンケート調査を行ってきたが、このたびその結果を報告書にまとめ発表した。
同報告書では、医療機関が積極的に分別・減量を行うため、現行の「感染性廃棄物処理マニュアル」の運用を見直し、危険度に応じて基準を作り、分別を進めるよう提言している。
医療廃棄物勉強会 調査報告会
東京医療廃棄物処理協同組合と(社)東京産業廃棄物協会・医療廃棄物委員会が合同で行っている「医療廃棄物勉強会」では、11月開催の第18回勉強会に上記の慶應義塾大学の学生を招き、調査結果の報告を聞くとともに、参加者と意見の交換を行った。
禍転じて福となす
情報があふれる現代社会にあって、「なぜ知らないのか」と思うことがしばしば見受けられる。
その一つに、最近報道された医療廃棄物の不法投棄事件がある。医療廃棄物の適正処理は当然のことで反論の余地はないと思っていても、紋切り型の意見や議 論が多く、情報が多い割にあいまいな面があり、現実的には適正処理の意味が薄れていく傾向になっているようである。
いや、そんなに難しいことではなく、単に無関心なだけだと言う人もいるが、こう不祥事が繰り返されると、「無関心」だけでは割り切れない面がある。
法整備の問題にはじまり、処理方法の見直し、処理料金負担の仕組み、関係者の教育制度、専門処理業者の育成等々、数多くの課題がいまだ未解決である現実 を考えると、このような不祥事も当然といえば当然といえる。しかし、不謹慎のそしりは免れないとしても、不祥事を追い風として「禍転じて福となす」方向に 持っていきたいと思っている。