No.155 2005年8月1日
暑中御見舞い申し上げます
平成17年盛夏
医療廃棄物研究所 所長 渡辺 昇
東京都医療廃棄物適正処理事業
モデル事業から本事業へ展開
基本協定書を改訂し実施体制を整備
既報の通り、東京都の支援のもと、(社)東京都医師会・(社)東京産業廃棄物協会・(財)東京都環境整備公社が実施している「医療廃棄物適正処理モデル事業」は好評のうちに本事業への進展が決まり、まずモデル事業の基本協定書を本事業協定書に改訂し、関係三者とも本格的な準備に入った。
東京都医師会では、9月中旬までに各地区医師会の担当役員を集め、モデル事業実施地区(葛飾区・足立区・新宿区)の状況報告を行い、本事業の仕組みについて東京都環境整備公社および東京産業廃棄物協会から説明を聞くことにしている。
医師会・産業廃棄物協会
地方での動きに資料を送り支援
医療廃棄物の処理を協力して実施
東京都の医療廃棄物適正処理事業の実施に影響され、全国各地で産業廃棄物協会と地元医師会が協力して処理事業を展開する方向で検討が始まっている。
まず、山口県と静岡県で産業廃棄物協会と医師会が話し合いを始めたため、(社)全産廃連・医療廃棄物部会の運営委員が中心となり、東京から資料を送るとともに、関係者を派遣して説明するための準備を行っている。
過剰と思われても規制強化を
のっけから斜に構えて、お上の対応に物申すのも何だが、「公害」という言葉が消え、いつの間にか「環境」という言葉に代わって久しい。そのためか、民も官も危機意識が希薄になってしまったようである。
環境保全のためには、過剰と思われるほどの規制をしてちょうど良いのに、何か物足りない気がしてならない。最近のアスベスト問題が象徴しているように、後手後手にまわる対応が浮き彫りになった今となっては、もう一度「公害」の昔に返ったほうが良いのではないかとさえ思う。
医療廃棄物問題も環境保全の一環であり、曖昧な規制で良いわけはない。経済問題(処理費用とその負担の仕組み)ばかりが前面に出ている実情とはいえ、公害防止への取り組みの原点に返って考え直そうではないか。「環境」などとカッコ良い言い方をしても、公害問題はいまだに完全解決に至っていないのだから。